直接部門と間接部門の溝

間接部門が仕事の邪魔をする?

経理をはじめ総務、人事・労務といった間接部門は、会社がうまく回っていくために欠くことのできない業務を行っています。取引先へ遅滞なく支払がなされるのも、毎月決まった日に給料が振り込まれるのも間接部門のおかげです。

営業や生産などの直接部門が「攻め」ならば、間接部門は「守り」が役目。攻守のバランスが良くなければ競争には勝てません。

しかし、多くの会社で直接部門と間接部門の不協和音が響いています。

経理部勤務の27歳OLの主人公が、各部署より持ち込まれる領収書から社内の疑惑や人間関係を洗い出し、さまざまな問題を解決していく姿を描いた『これは経費で落ちません!』(青木祐子・著)という小説があります。

漫画化やNHKでドラマ化もされた人気シリーズですが、その中にこんな場面があります。

「経理部長の新発田は営業部長(の吉村)と仲が悪い。」「(経理部が、営業部員の山田の)処理をはねつけて、(山田が)どこかで愚痴ったりしたら、営業部長の吉村が怒り、経理部長の新発田が受けてたち、新しく面倒な決まりができたりするかもしれない、そうなると割を食うのは末端の経理部員である」

これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~

これは、小説の中の話なので、面白おかしく人間関係が誇張されて描かれていますが、共感できる読者は多いのではないでしょうか。

直接部門からすれば、「ただでさえ忙しいのに、経理関連業務に時間がとられるなど余計な雑務が増えるのは間接部門に責任がある。」などと考えている人は少なくないでしょう。

一般論として間接部門に関しては、昔から人件費の負担や低い生産性が問題視され、本来なら見直すべき旧態依然としたやり方が頑なに続けられてきた面がないとは言えないと思います。その要因として、間接部門の仕事は属人化しやすく、その存在価値を守るためにあえて変化を好まない傾向があることは否めません。

一方、直接部門側からの不満に対し、間接部門側からすれば、「間接部門の仕事はひと月、一年の中での繁閑の波が大きく、繁忙期は限られた人員で手一杯となる。わざと直接部門に負担をかけようと思っているわけではないけれど、期限のあるものもあり、皆に嫌がられても法律上や会社のルール上やらなければならないことをやっているだけ。」といった反論が聞こえてきます。

名経営者も頭を悩ます間接部門対策

組織が古くなるほど、組織が大きくなるほど間接部門は肥大化し、聖域化する傾向があります。間接部門対策は古くて新しい経営課題であり、名経営者といわれる人たちも頭を悩ませてきました。

京セラの稲盛和夫名誉会長が作り出した管理手法である「アメーバ経営」。間接部門も含めた社内部門を細かく独立分離させ、それらを独立採算で運営する仕組みです。

間接部門では、社内の仮想価格で給与計算などのサービスを直接部門に売り、利益を上げるという活動もあります。これには仕事量に関係なく、非生産部門が固定化、肥大化するのを防ぐ目的があるようです。

松下電器産業(現・パナソニック)創業者で経営の神様と言われた松下幸之助が発案した事業部制も、各事業部が間接部門を組織の中に取り込むことで、むやみな拡大にブレーキをかける狙いがあったと言われています。

直接部門と間接部門の溝を埋める解決策は?

それでは、こんな直接部門と間接部門の溝を埋めるにはどんな解決策が考えられるでしょうか。

そのひとつの解が「見える化」です。繰り返しになりますが、間接部門の仕事は属人化しやすく、効率化が進みにくいところがあります。それを防ぐには、システムを導入し、作業手順を「見える化」することが有効です。ITシステムは、属人化を防ぐためのツールになりえます。

そして、もうひとつの解決策がアウトソーシング(業務の外部委託)です。一般的に専門性の高い間接部門の人材不足の解消やコスト面での優位性がメリットです。

しかし、具体的に自分の会社に取り入れようとすると、「どんなシステムが必要で、どの業務を切り出してアウトソースするのが最適なのか?」「費用との兼ね合いはどうか?」など不明な点が多く、前に踏み出せないでいる経営者は多いようです。

そんな経営者の方は、一度、専門家に相談することをお奨めします。

MARKコンサルタンツの経理業務支援サービスについて

当社では、経理業務において改善したい課題をお持ちの企業や医療法人に対して問題点の洗い出しから、改善策のご提案、導入のサポートまでをお手伝いしています。

間接部門、特に経理業務に問題を感じていらっしゃる経営者は、MARKコンサルタンツの経理業務支援サービスをご検討ください。

きっと、経営者の悩みの解決につながる解決策が見つかることと思います。

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