経理部長の役割

稟議書

経理部長とは、経理の門番である

日本の企業の数は約380万社といわれます。お金が動く限り、経理業務のない会社は存在しないわけで、経理部門の責任者が「経理部長」だとすると世の中には企業の数と同じだけの「経理部長」がいることになります。

もちろん全員が「経理部長」の肩書きを持っているわけではなく、別の役職名かもしれません。中小企業の場合、経理の責任者の仕事の中身は経理・財務が主で、そのほかに総務や労務といった業務を含んでいるケースも多いと思います。

厳密に言うと経理と財務は別物です。経理は、伝票の起票や会計データの入力、請求書・領収書の発行、支払業務、試算表の作成、決算事務といったところが一般的です。

一方、財務では主に今後の資金運用と、融資などの資金調達を扱います。

ポイント

経理とは:伝票の起票や会計データの入力、請求書・領収書の発行、支払業務、試算表の作成、決算事務などの社内業務

財務とは:今後の資金運用と、融資などの資金調達などの社外業務

経理部長と財務部長の違いは?

前項で説明した通り、経理業務とは日々企業が行う経済活動の中で生じる金銭のやり取りを財務諸表という形に取りまとめる業務であり、あくまでも社内に向けた業務が基本となります。

経理業務全般を指揮し、内容の正確性を確認したうえで、経営陣及び社内に向けて説明や報告を行う義務と責任を担うのが経理部長、という事になります。

一方、経理部が作成した財務諸表を基に社長をはじめとする経営陣のひとりとして、今後の資金計画を策定し、必要に応じて資金調達を実行するのが財務部長の役割と言えます。

ポイント

経理部長とは:財務諸表作成を取り仕切り、正確性を確認したうえで、経営陣及び社内に向けての説明や報告の義務と責任を担う従業員

財務部長とは:経理部が作成した財務諸表を基に社長をはじめとする経営陣とともに、今後の資金計画を策定し、必要に応じて資金調達を実行する役割を担う経営陣の一員

中小企業における経理部長の役割とは?

経理部長と財務部長は、似ているようで見ているものが全く異なる事がお分かりいただけたかと思います。

しかし、多くの中小企業においては経理部長が財務部長の役割を担っている事は少なくないし、社長が経理部長の役割を担っている事も少なくない、というのが現状です。

では、「中小企業における経理部長の役割」とは何でしょうか?

中小企業における経理部長の役割とは

(1)企業の経済活動を財務諸表に取りまとめて、経営陣に対して報告する

(2)経営陣と共に会社の経営状況を分析し、今後の経営計画を策定する

(3)経営計画を予算管理に落とし込み、会社の資金管理を行う

これらが、『中小企業における経理部長の役割』となります。

業務が多岐に渡るうえ、どれも大変重要で管理能力、判断能力が問われるものばかりです。経理業務はいわゆる間接部門の仕事とされますが、こと中小企業においてはどれも会社の経営に直接関わるものばかりであることが分かります。

では実際に、中小企業の経理部長はそうした役割を果たせているでしょうか?

経理部長・殿村直弘

「倍返しだ!」のセリフで人気を博した「半沢直樹」は、ビジネスマンでもファンの方は多いのではないでしょうか。残念ながらこのドラマには経理部長は登場しません。しかし、「半沢直樹」の原作者、池井戸潤の別の作品『下町ロケット』には魅力的な経理部長が出てきます。

小説の舞台は佃製作所という小型エンジンや特殊バルブを製造する中小企業です。資本金は3千万円、従業員は200名、売上高は100億円といいますから中小企業というよりも中堅企業といったところでしょう。

この会社の経理部長が殿村直弘です。前任の経理部長の定年退職を機に、半年前にメインバンクの白水銀行から出向して来ました。

佃製作所は研究開発型の会社で研究開発費に多くの資金を投入していますが、なかなかそれが会社の業績に結びついていないため、銀行借入に苦労している様子です。

殿村は周りへの遠慮もあるのか、社内になかなか溶け込めておらず、古参の社員からは「あの人、本当にウチのこと真剣に考えているのかなあ。心配してるのはカネのことばかりのような気がするんですよね。どこまでいっても銀行員というか」などと陰口を叩かれていました。

しかし、本当は本気で会社のことを心配していて、研究に資金をつぎ込む社長に対して「もう社長は研究者じゃない。経営者なんです。~せっかく上げた利益が研究費に消えていく~(研究をこころよく思っていない者が社内には何人もいて)このままだと社内、バラバラになってしまいますよ」と必死に進言します。社内では誰も言うことが出来ないと判断しての勇気のある行動でした。

さて、物語は特許を巡る訴訟問題が起き、大口取引先からの受注がなくなるなどトラブルが続きます。そのたびに社長から「資金繰りはどうだ、殿村さん」と問われます。殿村は、銀行に頭を下げて回り、また銀行以外のルートでの資金調達にも奔走します。

そんな綱渡りの資金繰りで苦労している時に、佃製作所に特許の取得で先を越された大企業(帝国重工)から20億円での特許買取りの提案が持ちかけられます。

経理部長の殿村からすれば、喉から手が出るほど欲しい20億円でしょう。しかし、殿村は特許売却とその特許を使った新しいビジネス展開する可能性とを考えた場合、「どっちの選択が十年先の佃製作所にとってメリットがありますか」と皆に問い掛け、その場しのぎではなく会社の将来を見据えてリスクを取ることを提案します。

「資金繰りは他の方法でなんとか頑張りますから、もし資金繰りのせいで売るとおっしゃっているのならその心配は御無用です。」と社長に迫ります。

なんとも頼もしい「参謀」です。このような経理部長となれれば格好も良いですが、現実はそういう訳にも行きません。

先日、訪問したある会社の経理部長は、「会社の玄関に置いてあるアルコール消毒液が無くなったら、補充するのが私の仕事です。」と冗談交じりに話してくれました。

こうした雑用は別にしても、もし経理部長が、例えば経理人材不足というような理由から経理部員の仕事(経理事務)に一部でも時間を取られ、経営幹部の立場からの計画策定や業務管理といった経理部長の本来業務に十分な時間を割けないとすれば、それは会社全体として大きな損失と言えるのではないでしょうか。

経理部長の業務をプロに任せる、という選択

「雑務に追われて、経理部長としての本来の仕事に集中できない」

これは、経理部長業務以外にも様々な業務を兼務せざるを得ない経理部長の皆さんが日々感じられているお悩みではないでしょうか?

そんな悩める経理部長の皆さんには、ぜひ「MARKコンサルタンツの経理改善サービス」の導入をご提案させてください。

本サービスは、経理の専門家が御社の状況をお伺いしたうえで、経理業務の効率化やアウトソーシングなどについて改善提案をいたします。

結果として、経理部門や経理部長の負担を減らすことになり、経理部長は一段上から会社の経営状況を見渡し、今後の効率的な資金計画などといった業務に費やす時間や余裕が生まれるでしょう。

MARKコンサルタンツは、目の前の仕事の効率化やコスト削減だけでなく、経理部長がその役割を果たし、より高い次元の業務に力を注ぐことのできる環境整備をサポートすることにより、会社の未来に貢献します。

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MARKコンサルタンツは、名古屋市中区に本社を置き、愛知県、岐阜県およびその周辺地域の企業様に経理業務改善のための様々なサービスをご提供しています。経理業務をはじめとする間接業務(Back Office)でお困りの経営者様を「気軽に相談できるパートナー」としてサポートいたします。

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