経理担当者が突然退職!そんなリスクに備えていますか?
この記事の要点
この記事では、「経理担当者が急に退職することになった。」「担当者による不正が発覚した。」など、経理業務にまつわるリスクを回避し、大きなコストを掛けずに安定した経理部門の運営を目指すために何をするべきかについて、経理業務改善コンサルタントが具体例を挙げながら解説します。
経理担当者の退職リスク回避の3大ポイント
- 業務フローを明確にして、マニュアルを作成する
- 担当者を増やして業務を分散させる
- 上手に外注を使い、リスクや負荷を分散させる
経理専門部署で複数の従業員が業務にあたる大企業とは異なり、1名~2名の担当者で経理業務を行っている中小企業では、経理担当者の突然の退職は非常に大きなリスクであり、取引先だけでなく、従業員との信頼関係も崩壊する可能性をはらんでいます。
そんな事は、経営者であれば誰もが分かっているはずなのですが、実際に「今まで10年以上にわたって経理業務を一手に担っていた担当者が、体調を崩して入院する事になったんだけど、誰も業務内容を把握していないので今月の給与の支払いすらできなくなりそうで困っているんです!」と言ったご相談を受ける事があります。
そこで今回は、経理業務の基幹部分を担う人材の突然の退職に備えて、どのような対策を取っておくべきかについて考えていきたいと思います。
- 1. リスク回避のために、今すぐ考えるべき事
- 1.1. マニュアルの有無と、運用状況について確認する
- 1.2. 業務の分散を図る
- 1.3. 信頼できる外注先を探す
- 1.4. ポイントは『備える事』
- 2. 急な退職で想定されるリスクとは?
- 2.1. 業務内容が誰にも把握できない
- 2.2. マニュアル作成が間に合わない
- 2.3. 後任の採用が間に合わない
- 2.4. 引き継いだ従業員が過負荷になる
- 2.5. 経営者が短期間で大きな判断を強いられる
- 3. 『備え』としての経理業務外注化とは?
- 3.1. 業務フローの整理と改善を外注化する
- 3.2. マニュアル作成と導入を外注化する
- 3.3. 記帳業務、給与計算業務を外注化する
- 4. 退職リスクに備えるなら、まずは経理業務の改善からスタート
リスク回避のために、今すぐ考えるべき事
経理業務責任者の急な退職によって想定されるリスクには、様々なものが挙げられます。詳しくは後述するとして、まずはリスクを回避するために今すぐに考えるべきことについてご説明したいと思います。
マニュアルの有無と、運用状況について確認する
まずは、現任の担当者に経理業務に関するマニュアルがあるかどうかを確認しましょう。
マニュアルがある場合は、その内容が実際の業務に即しているかどうかについての検証も行うと良いでしょう。
マニュアルがない場合は、業務をリストアップして優先度が高い業務から順にマニュアル作成に着手する事をお勧めします。
業務の分散を図る
中小企業では、すべての経理業務を1名の担当者が行っている場合も少なくありません。
しかし、これは突然の退職のリスクだけではなく、重大なミス・不正会計・情報漏洩など様々なリスクをはらんでいます。
担当者を増やし業務を分散させる事で、リスクを回避するという方法も一考の価値ありです。
信頼できる外注先を探す
とはいえ、中小企業において、たとえ1名であっても従業員を増やすことはコスト負担が大きい場合もあるでしょう。
そのような場合には、信頼できる外注先を探すことをお勧めします。
すぐに大きな業務を外注しなくても良いのです。専門知識が必要とされる業務だけを請け負ってくれる専門家や、業務フロー全体を整えてマニュアルを作成してくれるような業者、あるいは伝票入力だけを任せられる外注先など、自社のニーズに合わせた外注先を見つけておく事で、リスク回避だけではなくコスト削減につなげる事も可能になるでしょう。
ポイントは『備える事』
これらのリスク回避策は、実際に問題が発生した後で短期間で行うと失敗する可能性が高まります。
例えば、現任の担当者の退職が決まってからマニュアル作成に着手しても、その内容を検証するだけの時間が取れないでしょうし、短期間でニーズに合う外注先を見つけるのも簡単ではありません。
担当者の急な退職時のリスクを軽減するためには、時間に余裕がある時に準備しておくことが重要です。
急な退職で想定されるリスクとは?
では、経理業務責任者の急な退職によって生じ得るリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?具体的にご紹介していきたいと思います。
業務内容が誰にも把握できない
仮に1名の担当者がすべての業務を一手に引き受けていたとしても、退職にあたっては業務内容をきちんと整理して、後任に引継ぎを行う義務があります。
しかし、病気など本人も想定していなかった事情によって、「明日から出社できません。」という事態が発生する可能性はゼロではありません。
このパターンでは、いったいどのようなフローで、どのようにして作業を行っていたのかが誰にも分からずパニックに陥るという最悪な事態に発展しかねません。
実際、経理責任者が突然退職したけれど誰も作業内容を把握しておらず、すべての処理に遅延が生じてしまい、正常な状態に戻るまでに数か月を要したという事例を聞いたこともあります。
マニュアル作成が間に合わない
現任の担当者が退職する事になった際、「後任がすぐに見つからなくても、とりあえずマニュアルを作っておけば、それをベースに作業を進める事ができるだろう。」
そう考えて現任の担当者にマニュアル作成を指示したとします。しかし、日常業務に加えて、業務内容を整理しながらマニュアル作成を並行して行う事は並大抵の労力ではありません。
また、マニュアルを作った事がないという経理業務担当者も少なくなく、限られた時間の中でどのような内容であれば後任がスムーズに作業を完遂できるのかについて考えを巡らせて完璧なマニュアルを作成するというのは、現実的にはほぼ不可能と言えるでしょう。
そんな状況の中でどうにかマニュアルが完成したとしても、新しい担当者が「マニュアルを見ても、全然業務が理解できない。」という状況に陥るというのは、ありがちなパターンです。
後任の採用が間に合わない
突然、「来月末で退職します。」と言われても、そこから採用に着手したのではたいていの場合は間に合いません。
経理人材に限った事ではありませんが、企業が望む人材の雇用のハードルは年々高くなるばかりです。経理業務を任せる事ができる優秀な人材を、短期間で雇用するのは多くの中小企業にとっては至難の業と言えます。
そうこうしているうちに従来の担当者は退職の日を迎え、結局まともな引継ぎができないままに現場はパニックに陥る、というのも良くある事例です。
参考記事:経理人材の採用、苦労していませんか?
引き継いだ従業員が過負荷になる
無事に後任が見つかったものの、短期間で業務を引き継いだ後に実務に当たる担当者の負担は決して軽くありません。
何しろ、一口に経理業務と言ってもその内容は多岐に渡り、業務の片手間に1~2か月の期間で引継ぎを終えて、滞りなく業務を進める事は容易ではありません。
「あれが分からない!」「これが分からない…。」となっても、そのたびに退職後の前任者に問い合わせるような企業は『ブラック企業』と言われる時代です。また、前任者が退職した事情によっては、直接問い合わせることが難しい場合も考えられます。
後任が負荷に耐え切れず短期間で退職してしまう、という最悪の事態に陥ると、更なるパニックになる事は不可避でしょう。
経営者が短期間で大きな判断を強いられる
新規で人材を雇用するにしても、外注先を見つけるにしても、それぞれに「この相手に決めよう!」という決断が必要になります。
平常時であれば、何人も面接を行いベストな人材を雇用したり、何社からも話を聞いて最も条件の合う外注先と契約を結んだりする余裕がありますが、時間がない中で人材や外注先を決めるのは大きな『賭け』にならざるを得ません。
その結果、改めて求人や外注先選定を行う事になり、無用なコストを支払う羽目になる可能性も決して低くはありません。
当社では、
1.業務フローの整理やマニュアル作成、導入支援
2.記帳、給与計算の代行
と言った業務支援を通じて、経理業務担当者の急な退職で生じるリスクに備えるためのお手伝いをさせていただいています。
『備え』としての経理業務外注化とは?
ひとくちに経理業務の外注化と言っても、その内容は様々です。
ここでは、『備え』として導入をお勧めしたい業務についてご紹介したいと思います。
業務フローの整理と改善を外注化する
まずは、専門家に業務フローの整理と改善について相談してみる事をお勧めします。
緊急時であるかどうかに関わらず、自社の業務フローを整理し、改善点を把握して、改善を実現する事は容易ではありません。誰しも、自分の事はあまり良く見えないからです。
当社では、経理業務に漠然とした問題意識を感じられている経営者の方から、「一度、担当者にヒアリングをしてもらって、アドバイスが欲しい。」とご相談をいただく事があります。
そこで、ヒアリングの機会を設けていただくと、「自分の業務にケチを付けられるのではないか?」とか「自分の仕事が奪われるのではないか?」というように警戒心をあらわにし、強い抵抗感を示す経理業務担当者は少なくありません。
結局、「まぁ、現任の担当者も気が進まないようだし、とりあえず今は問題なく進んでいるからまたの機会で良いか。」と、改善を先延ばしにしてしまう経営者の方も実は結構いらっしゃいます。
そんな場合は、単に『経理業務を改善する』と言う視点ではなく 『リスクに備える』という視点で経理業務フローの整理を行い、改善すべき点は改善を図る事をお勧めします。
現任の経理担当者にも、「(あなたの業務に問題があるからではなく)リスク管理の観点から、改善を図る必要があるのだ。」という事を理解してもらえれば、協力を得られるのではないでしょうか。
業務フロー全体が把握できていれば、急な退職が発生しても、絶対に外せない業務に的を絞って短時間で効率的な引継ぎを行うことが可能になります。
「何がどのようになっているのか分からない。」とか、「どこから手を付けて良いのか分からない。」という状況を回避し、「最低限、ここだけは押さえておけば大丈夫。」というポイントを明確にしておくことは、リスク回避の最も重要な対策であると言えるでしょう。
マニュアル作成と導入を外注化する
業務フローの整理と改善策が進んだら、次のステップとして種々の業務マニュアルを作成しておくと、引継ぎはよりスムーズに実現できるようになります。
しかし、前述したとおり、マニュアル作成が得意な経理業務担当者はあまり多くありません。
時間をかけて作ったマニュアルも、実際に使ってみると全く実用性がなかった、となると完全に時間と労力が無駄になり、業務上のリスクも回避できません。
そのような事態を避けるため、業務マニュアルの作成を専門家に外注する事をお勧めします。
当社では、業務フローの整理と改善策をご提案したのち、実際の業務運用マニュアルの作成や導入支援、従業員への指導などもお手伝いさせていただいております。
マニュアルを実際に使いながら導入支援を行う事によって、少ない人員でも確実な業務運用を達成しつつ、いざと言う時には専門家が短期間での引継ぎをサポートします。
記帳業務、給与計算業務を外注化する
伝票入力や給与計算と言った日々生じる業務を外注化しておく事で、責任者の業務負担を日ごろから軽減しておき、急な退職が発生した場合に、慌てず余裕を持って業務の根幹部分だけを後任に引き継ぐことを目指します。
とは言え、この方法の場合は後任が見つからなければ、やはり混乱を回避する事は難しくなりますので、その点については別途考える必要があると言えます。
退職リスクに備えるなら、まずは経理業務の改善からスタート
退職リスクに備えるために、まずはMARKコンサルタンツが提供する経理業務改善のための診断を受けてみませんか?
参考資料:経理業務の診断とアドバイス
http://keiri-mark-c.jp/business/consulting/
経理業務改善を図る事は、退職リスクの軽減にとどまらず、業務の効率化や従業員の負担軽減、種々のコスト削減や経営戦略の見直しなど様々な点に置いてメリットがあげられます。
伝票入力など日々の簡単な業務の外注化をご検討の場合にも、まずは業務全体を整理したうえで、最も効率よく経理部門を運営するためにはどの業務を外注化して、どの業務を社内で運用するのかを判断される事をお勧めします。
MARKコンサルタンツでは、専門家が現状分析をもとに改善策を策定し、ご提案いたします。そのうえで、各部署の要望などを盛り込んで最適化した業務フローは、実際に導入し問題なく運用できるようになるまでしっかりと支援します。
「今すぐ相談に乗って欲しい!」という方も、「まずは相談してみたい。」という方も、どうぞお気軽にお問合せ下さい。
投稿者プロフィール
- MARKコンサルタンツは、名古屋市中区に本社を置き、愛知県、岐阜県およびその周辺地域の企業様に経理業務改善のための様々なサービスをご提供しています。経理業務をはじめとする間接業務(Back Office)でお困りの経営者様を「気軽に相談できるパートナー」としてサポートいたします。
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