あなたは、ずれていませんか?

サラリーマン川柳2021から

今年5月に「第34回第一生命サラリーマン川柳」の優秀100句が発表されました。サラリーマン川柳は1987年から始まった川柳の公募コンクールで、毎年楽しみにしておられる方も多いと思います。今年はやはりコロナが主役です。どの作品もコロナ禍の世相や働く人の本音がユーモアたっぷりに詠まれています。その中で今年みごと1位に輝いた句は、

「会社へは 来るなと上司 行けと妻」

新型コロナ対策で在宅勤務を指示する上司と、いつも家にいられては迷惑だから出勤しろと言う妻との間で板挟み。夫の悲哀を感じます。

さて、7位に選ばれたのが次の句です。

「お父さん マスクも会話も よくずれる」 

鼻マスクの人、気になりますよね。

今回の「経理のコラム」は、この「ずれ」について考えます。

と言っても、マスクではありません。思い当たる節のある方も多いと思いますが、会話や議論をしていて、なんかこの人とは噛み合わないな、ずれてるなと思うことがあります。

齟齬と相違の違い

「ずれ」を少しむずかしい言葉で言うと「齟齬(そご)」です。「齟」も「齬」も歯がかみ合わないことを意味し、上下の歯がくいちがう意となります。つまり齟齬とは、両者が意見交換をした際に、論点や議論がずれていることで生じる食い違いです。

一方、同じような言葉で、「相違」は、意見そのものが全く違う、対立しているときなどに使われます

従って、相違も齟齬もふたつ以上の対象を比較する点では同じですが、相違がそれぞれの話が違うという事実だけを述べるのに対し、齟齬は、それぞれの意見をかみ合わせようとする前提が背景にあって用いられる言葉と言えます。

「ずれ」にはなかなか気がつかない

しかし、ずれている本人は、そのずれに気づいていないことも多く、こちらから相手とのずれを正そうとしても、うまくいかなかったという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

そもそも話の理解にずれが生じてしまう原因としてまず次のようなものがあげられます。

  • 感情的になってしまう
  • 自己中心的で自己主張が強い
  • 思い込みが激しい など

これらの原因は、個人的な性格による部分が大きいと思いますが、それ以外に話がかみ合わず、ずれてしまう原因として、相手との認識や価値観の違いがあります。

企業の目標達成のために「ずれ」をなくす

『社員の力で最高のチームをつくる〈新版〉1分間エンパワーメント』(ケン・ブランチャード著、ダイヤモンド社)という本から紹介します。

社員の力で最高のチームをつくる 〈新版〉1分間エンパワーメント

星野佳路 監訳/ケン・ブランチャード 著
ジョン・P・カルロス 著/アラン・ランドルフ 著/御立英史 訳

定価:1430円(本体1300円+税10%)

ISBN:978-4-478-10067-7

企業は、それぞれに目標設定を行っています。この本では、全社員をその目標に向かわせる方法として、経営者が社員を駒のように使う指揮命令的発想から、社員が自らの責任感を持ち最善を尽くせるような支援的発想に切り替えるべきことを説いています。そして人間がもともと持っている力を引き出すエンパワーメントが実現した時、企業は柔軟性が増し、優れた顧客ニーズ対応、イノベーション、財務の健全化を実現すると述べています。

中でも社員の自律した働き方を促すためには、企業と社員の価値観のすり合わせが目標達成のための行動を導く、としてこんな例をあげています。少し長くなりますが引用します。

コンビニエンスストアの社員に「あなたが会社から期待されていると思う仕事を挙げてください」と言って書き出してもらったのが次のリストです。(一部を抜粋)

・棚卸損(帳簿より実際の商品が少ない状態)を減らす
・レジの現金に過不足がないようにする
・在庫の棚を整理整頓する
・トイレを清潔に保つ など

このコンビニエンスストアの経営者にも社員に責任をもってもらいたい点を書き出してもらいました。

・売上げ
・利益
・顧客の評判
・サービスの質 など

両者のリストの内容は、近いようで、でも「ずれ」ています。

経営者は社員に対し、売上げとか顧客サービスなど最終的な結果がどうなのかを見て欲しいと指示していたつもりですが、社員は日々の作業のほうに意識が向いていました。

実は、日ごろ経営者は社員に対し、こんなことを言っていました。

・実際の商品数と記録が合わなさすぎる
・遅番で12ドル不足したのはなぜ?
・棚に欠品がある
・トイレが汚れている

経営者は毎日、ルーティンな作業レベルのことばかりをフィードバックしていたため、社員に間違った目標を伝え、的外れな業務に注意を向けさせてしまいました。社員は自分が果たすべき責任と自分の仕事を結びつけることができなかったわけです。

「ずれ」の原因は、相手と認識や価値観が共有できていなかったことにあったのです。

そして、本の中ではこのように言えばよかったと結ばれています。

・販売量が落ちた理由を考えてくれるかな。僕も手伝うから。
・利益が落ち込んでいるね。どうすれば良いか考えよう
・トイレが汚れていたら、お客様はどう感じるかな?

社長さま、経理部長さまへ~「ずれ」を認識するために

さて、このコラムをお読みいただいている経営者や経理部長の皆さまは、日ごろ経理担当の部下にどんな言葉をかけていますか?

  • どうして500千円を500万円と入力したの?
  • 振込日を間違えたせいで、取引先から「代金が支払われていない」とクレームがあった
  • 勘定科目が間違っていた
  • 月末の経営会議に提出する資料、絶対に遅れることのないように

もしも、あなたの職場でこんなやり取りがされているとしたら、部下に誤ったメッセージが伝わっているかもしれません。

経験や実績が豊富な上司は、自分のしてきた仕事に自信やプライドを持っていて、経理部や経理課が会社にどのように貢献しているか、その中で経理担当者として果たすべき責任はなにかといった価値観を持っているものと思います。そして上司は無意識にそれが正しいもので、部下もそれを受け入れてくれているという前提で、部下に話をしているとしたら、それはきっと上司の思い込みです。

ここまでコラムを読んでいただいて、認識や価値観に部下との「ずれ」があるかも・・・と思われた経営者や経理部長の皆さまは、部下に「あなたが会社から期待されていると思う仕事を10個挙げてください」と質問してみてはどうでしょうか。例にあげたコンビニエンスストアの経営者と同じ想いを抱くかもしれません。

中小企業の場合、社長夫人が経理部長といった会社も多いですが、夫婦間でも同じことが言えると思います。

次にやるべきことは?

さて、こうして上司と部下の認識や価値観のずれが修正され、経理業務が会社に貢献する価値は何か、経理課員として果たすべき責任は何かといった認識が一致できたとしても経営者や経理部長の仕事はそこで終わりません。

その価値観を実現できるよう最大限の成果をあげるのに、今までの業務手順は適切か?もっと部下が働きやすい環境にするため改善すべき点はないか?人手不足を嘆く前にもっと効率化できるツールはないか?等々、部下も巻き込んで見直してみてください。

そして、その答えの選択肢のひとつとしてMARKコンサルタンツは、経理の専門家が経理業務のお悩み解決をサポートする「経理業務支援サービス」を提供しています。 考えたらあとは実行です。皆さまからのご相談をお待ちしています。

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