渋沢栄一と経理業務効率化

渋沢栄一は、なぜ今、注目を集めているのか?

「勤務先が変わり、引っ越した。東京電力、東京ガスの手続きも済んで新生活が始まった。通勤帰りのJRの駅を出て、みずほ銀行のATMでお金を下ろし、コンビニで今朝の日本経済新聞で読んだサッポロビールの話題の新商品を買う。明日は休みなので聖路加病院に入院中の友人の見舞いに行こう。」

なんともへたな文章ですが、それはさておき、この文章には固有名詞がいくつか出てきます。それらにはある共通点がありますが、何でしょうか?

正解は、ここに出てくる企業等はすべて「近代日本資本主義の父」と呼ばれた渋沢栄一がその設立に関わったということです。渋沢は、その生涯に500とも600とも言われる数の会社や学校、病院などの設立に関わりました。

渋沢栄一の生誕地・埼玉県深谷市にある深谷駅

2024年に発行予定の新一万円札に渋沢の肖像が使われることが決まり、また今年のNHKの大河ドラマ「青天を衝け」の主人公ということもあってがぜん注目が集まり、書店にはたくさんの関連書籍が並んでいます。

渋沢の著書の中で最も有名なのが「論語と算盤」でしょう。論語は儒教の祖、孔子(中国の春秋時代(紀元前5世紀)の思想家)の教えをまとめたものです。

論語は大きく、12世紀に南宋の朱熹が、その当時、多くの宗派に分かれていた儒教を編纂し作り上げた朱子学と16世紀の明の時代に王陽明が朱子学を批判的に継承し、仕事や日常生活の中での実践儒学として起こした陽明学とに分かれます。

江戸幕府の教学政策として奨励されていた朱子学では「「道徳と思いやりの政治を掲げて、世の中を治める」ことと、「経済活動によって富と地位を得る」こととは両立しない。」だから、「高い道徳を持った人物になりたければ、金もうけなど考えてはならない。」とされ、士農工商という身分制度を支える思想でした。

渋沢も幼少期から論語を学びますが、渋沢が学んだのは陽明学です。朱子学では両立できないと考えられていた道徳と経済について、渋沢は論語の中にそんな意味の言葉はひとつもないとして「経済道徳合一説」を唱えました。

経済道徳合一説

論語の一節です。

富にして求むべくんば、執鞭の士(しつべんのし)といえども、われまたこれをなさん
もし求むべからずんば、わが好むところに従わん。

意味:富が追求に値するほどの値打ちを持っているものなら、どんな賤しい仕事についても、それを追求しよう。だが、それほどの値打ちをもたないなら、わたしは自分の好きな道を進みたい。 

執鞭の士(行列の露払いの仕事、賤しい仕事のたとえ)


一見すると、富や地位を値打ちがないと軽蔑した言葉のように解釈できます。しかし渋沢によると、これは間違った解釈で「富が追求に値するほどの値打ちを持っているものなら」とは「正しい道や道徳によって富が得られるなら」という意味だと言います。

つまり「正当な方法で富が得られないのであれば、気に入らないことをして富を手にするより、むしろ貧賤に甘んじてまっとうな生き方をしたほうがよい」というのが孔子の教えです。富が問題なのではなく、その取得方法が問題。富を手に入れる方法が道に適っているのか、道から外れているのか、そこが大切なところで、富を得ること自体は何も悪くなく、経済と道徳は両立できるというわけです。

利益を上げるための正しい方法とは?

渋沢は正しい道理を踏んで、富を手に入れることの正当性を述べていますが、今の時代の企業にとって、富を手に入れる=利益を上げる ための正しい方法とはどんなものでしょうか。今の時代はただ法律を守るだけでは不十分で、高い倫理観やその時代の社会のルールに適った方法が求められます。

そこで現代の企業の最も分かり易い活動指標として注目されるのがSDGs(持続可能な開発目標)です。

SDGsは2015年の国連サミットで採択されたより良い世界を目指す上での「2030年のあるべき姿」を書いた文書です。

SDGs経営は株主だけが第一の経営から、株主よりも顧客、従業員、取引先、地域社会といったステークホルダー(利害関係者)を優先するステークホルダー資本主義による経営への転換であり、これを目指すことで企業の持続可能性を高めることは、大企業に限らず中小企業でも同じです。

引用元:Wikipedia

業務効率化で「働きがいも経済成長も」

SDGsは、開発側面だけでなく経済・社会・環境の3側面すべてに対応し、先進国にも共通の課題として設定され、17の目標と169のターゲットからなります。

SDGsの8番目の目標は「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する」というものです。分かり易く言えば、働きがいと経済成長を両立させる「働き方改革の実現」です。

さて、これを経理業務で考えてみましょう。経理の働き方改革には、生産性を高め、労働時間の短縮につながる業務の効率化が不可欠です。業務効率化とは、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を使って、自社の業務をより効率的に進める取り組みです。

その方法としては、まず今の業務の内容を書き出して、無駄な、あるいはムラや無理のある業務や行動がないかを分析し、これをできる限り省いていくことをお勧めします。

トヨタ自動車の元名誉会長の張富士夫氏は、「「無駄な仕事」というものは無く、現場には仕事と無駄のふたつしかない」と言っています。

トヨタには「7つのムダ」という有名な考え方がありますが、トヨタのこうした無駄をなくす行動の小さな積み重ねが、世界一の自動車メーカーの利益の源泉です。

専門家の力を借りて経理業務の効率化を

経理業務のイメージ画像

次に経理業務に話を移しましょう。

実際問題として、業務の見直しにより効率化を図ることは簡単ではありません。中小企業の経理業務の場合、業務に精通した人は限られ、担当者だといっても前任者から引き継いだそのままのやり方を踏襲しているだけといったように、社内に第三者的に業務を分析できる人がいない会社は多いでしょう。

また、働きやすい環境をつくるためといっても、経理担当者が自分で自分の業務を見直すことで「自分の仕事を取り上げられるかも」と誤った理解をすれば、積極的に取り組まない可能性もあります。

そこで、経理業務の効率化を考える経営者の皆さまに「MARKコンサルタンツの経理業務支援サービス」をご紹介します。本サービスは、経理の専門家が御社の状況を分析し、以下のような改善策を提案します。

MARKコンサルタンツの改善策の一例

  • 無駄な作業や工程の見直し
  • 作業手順の見直し
  • 作業時間の短縮方法
  • 作業の分担のしかた
  • マニュアル作成

一般的に営業や製造といった直接部門は「攻め」のイメージがあり、経理のような間接部門は「守り」の役割で地味な印象がありますが、経理業務の効率化も渋沢栄一の言う利益を上げるための「攻め」の正しい方法のひとつです。

「MARKコンサルタンツの経理業務支援サービス」は業務効率化により働きがいと経済成長を両立させることで、持続可能な社会の実現のための働き方を実現し、あなたの会社のSDGsの取り組みに貢献します。

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