専門家が解説!経理代行や記帳代行を利用するべき企業とは?
この記事の監修者
近藤利彦(株式会社MARKコンサルタンツ / 中小企業診断士)
名古屋大学卒業後、地銀の支店長を経て、株式会社MARKコンサルタンツ入社。中小企業診断士の資格を活かし、経理改善サービスの導入支援などに従事している。
ここ数年でニーズが高まっている『経理代行』や『記帳代行』ですが、これらはすべての企業に導入のメリットがあるサービスなのでしょうか?
この記事では、具体的な両者の違いや、経理代行と記帳代行のどちらを利用するのが良いのかについて専門家が分かりやすく解説します。
この記事の2大ポイント
- 経理担当者の退職などに備えたい企業は、『経理代行』の導入を検討する価値あり
- 経理業務の電子化を図り、日々の細かいミスを減らしたいと考えている企業は『記帳代行』の導入を検討する価値あり
『経理代行』と『記帳代行』の違い
企業のニーズによって『経理代行』と『記帳代行』のどちらを選ぶべきかは異なります。まずは両者の違いについてご説明します。
経理代行とは?
経理代行とは、企業経営に欠かす事のできない『経理』に関する種々の業務の一部または全部を外部の専門家(多くの場合は税理士事務所や会計事務所)に業務委託する事を指します。
具体的な業務例としては、
- 各種帳簿類の作成
- 売掛金/買掛金管理
- 決算業務
- 振込代行
などが挙げられます。
導入のきっかけは?
経理代行は、経理担当者の退職をきっかけに導入を検討する企業が多いです。
記帳代行とは?
記帳代行とは、経理業務の中から、伝票の起票(仕訳の作成)及び、会計ソフトの入力作業だけを外注化することを指します。
具体的な業務例としては、以下のような各種帳簿類の起票入力業務が挙げられます。
帳簿類一覧
- 現金出納帳
- 預金出納帳
- 売掛残高一覧表
- 買掛残高一覧表
- 試算表
- 総勘定元帳
導入のきっかけは?
記帳代行については、会計ソフトの導入と併せて外注に移行する企業が多いです。
まとめると…
経理代行:経理に関する幅広い業務を外注化する事を指し、経理担当者の退職などに備えたい企業は導入を検討する価値あり
記帳代行:経理業務の中から会計ソフトへの入力作業だけを外注化する事を指し、 経理業務の電子化を図り、日々の細かいミスを減らしたいと考えている企業は導入を検討する価値あり
※株式会社MARKコンサルタンツでは、経理業務改善コンサルティングサービスをご提供しております。税務や労務の業務はMARKコンサルタンツグループの税理士事務所や社労士事務所で承っております。
なぜ、経理代行や記帳代行を利用するのか?
経理代行や記帳代行サービスが普及した理由のひとつとして、経理業務を担当する人材の確保が困難であることが挙げられます。
経理業務は、企業経営に欠かすことができない業務である一方で、専門的な知識が必要な事から、人材が一人前に育つまでに時間がかかる事もあり慢性的な人材不足の状態に陥っています。
そこで、経理に関する業務の一部を外部の専門家に委託する事によって、社内の経理担当者の負荷を軽減したり、新規人材を雇用せずに業務を円滑に行うために『経理代行』や『記帳代行』といったサービスが利用されています。
経理業務に対する経営者のお悩みとは?
コロナ以降、在宅で業務を行う必要が生じた事で経理業務の電子化が一気に進んだ感がありますが、更にIT導入補助金や電帳法の改正などによって、中小企業の経営者の皆さまから経理に関連するご相談が増えております。
中でも、多くの経営者が悩んでいるのは以下のような事柄です。
【悩み】経理業務担当者の過負荷に関するお悩み
- 紙の請求書や領収書が多く、それらを期日内に集めて入力・確認する作業に時間が掛かっている
- 現金出納帳や売掛台帳等の帳票を、今も手書きで作成している
- 電子化を図りたいが、各部署からの反発が強く導入に至らない
- 顧客管理や、出納管理と、会計ソフトが連動しておらず、二重入力が発生している
【悩み】経理担当者の確保・雇用に関するお悩み
- 経理業務の属人化が著しく、退職や不正へのリスクが高まっている
- 求人を出しても十分な能力を備えた人材の雇用に至らず、採用コストが非常にかさんでいる
【悩み】経理業務におけるミスに関するお悩み
- 家族経営で、奥様が会計を担当しているが専門家ではないためミスが多く発生している
- リアルタイムでの経営状況が把握できておらず、決算の時期になってから重大なミスが判明する事がある
それぞれのお悩みを、どう解決するのか?
【解決策】経理業務担当者の過負荷に関するお悩み
経理業務担当者の過負荷を軽減するために、経理代行や記帳代行を取り入れる事は、最も直接的な効果が得られると言えます。
しかし、「経理代行や記帳代行の導入=追加でのコストの発生」という認識からか、導入に積極的ではない経営者が多いように感じられます。
そのような場合は、それらのサービスを提供している業者から見積もりを取ってみる事をお勧めします。
もしその費用が経理業務担当者の残業代を下回っているようであれば、すぐにでも経理代行サービスを利用するべきでしょう。
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【解決策】経理担当者の確保・雇用に関するお悩み
担当者の急な退職をきっかけに大慌てで当社にご相談に来られる経営者は、決して少なくありません。
もし退職が急でなかったとしても、定年退職も含めてやがて現在の担当者は退職の日を迎えます。
その日に備えて、経理業務や記帳業務を外注化しておく事で、業務の過度な属人化を防ぐことが可能になり、その結果、担当者の退職時に慌てることなくスムーズな業務継続が可能になります。また、経理業務を第三者にアウトソースする事で、経理担当者の不正防止対策にもなり得ます。
一方、経理人材の新規採用について、厚生労働省が発表した令和3年10月度の有効求人倍率を見ると、一般事務が0.29倍、会計事務が0.58倍となっています。事務職の中でも、経理に関しては慢性的な人材不足の状態が継続しているのです。(参考:一般職業紹介状況(職業安定業務統計) – 厚生労働省)
このような状況を踏まえて、今後も多額の費用を掛けて経理人材の雇用に挑戦し続けるのか、経理代行を取り入れるのかを検討する事は避けられなくなっているのではないでしょうか?
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【解決策】経理業務におけるミスに関するお悩み
経理業務や記帳業務で慢性的に細かいミスが発生しているけれど、育児で多忙な奥様に頼んで経理をやってもらっているのでなかなか指摘しづらい…。
このようなお悩みをお持ちの、家族企業経営者の方も少なくありません。
とは言え、奥様に給料を出すために何らかの仕事をしてもらう必要があるため、新たな人材を雇用する訳にはいかないという場合には部分的に経理業務や記帳業務を外注化したうえで、奥様には社長のビジネスパートナーとして、日々の細かい数字を正確に記録する経理業務ではなく、もっと広い観点から長期的に経営状況を見て、社長の良きアドバイザーの役割を果たしてもらうことが可能なのではないか思います。
社長夫人は経理業務を正確にこなす事に忙殺されるのではなく、経理業務全体を見渡す役割を果たすために経理全般への知識を身につけ、財務分析など日々のお金の流れや決算書を読み解くスキルを身につけ、高めていくことが企業全体にとってより良い選択になり得るのではないでしょうか。
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まとめ
経理代行や記帳代行を検討した方が良いのはこんな企業です!
- 経理担当者が慢性的な業務過多に陥っている企業
- 経理業務の属人化が著しく、退職などのリスクへの備えができていない企業
- 奥様が経理の専門家ではないのに、経理業務を担当している企業
- 規模の大小を問わず、慢性的にミスが生じている企業
- 正確な経理情報を、リアルタイムで把握したい企業
こんなご要望があれば、当社にご相談下さい
- 経理業務担当者の負荷を軽減したい
- 経理担当者の退職への備えを行いたい
- 経理人材の採用にこれ以上無駄なコストを掛けたくない
- 社長夫人の業務をより生産性の高いものにしたい
- 経理のデジタル化を図りたいので、導入を支援して欲しい
- その他、記帳業務も含めた経理業務改善について相談したい
投稿者プロフィール
- MARKコンサルタンツは、名古屋市中区に本社を置き、愛知県、岐阜県およびその周辺地域の企業様に経理業務改善のための様々なサービスをご提供しています。経理業務をはじめとする間接業務(Back Office)でお困りの経営者様を「気軽に相談できるパートナー」としてサポートいたします。
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